雑感2
PseuDoctor先生のエントリ読みました。
http://pseudoctor-science-and-hobby.blogspot.fr/2012/10/blog-post_21.html
科学ジャーナリストは、最新の雑誌発表論文を読み込み、読者に紹介することが最も重要であるという主旨だと存じます。
基本的には同意でして、もうちょっと短くまとめて言うと「NewYork Timesとかみたいにやって欲しい」ってことだと思いますがいかがでしょうか。
最近のNYTの科学記事とかこれ見てみて下さい。紹介するくらいなので当然、私はこれを優れた記事だと思っています。
わたしの周辺分野では最近で最も大きなインパクトであった、やたら大量に同時に論文発表されたENCODE研究関連の記事です。まさしく、最新の学術論文を読者にわかりやすく紹介する目的でもって書かれた記事です。
まず第一にENCODEの発表がNYT読者にとってどういう意味がありうるものか、それはどういったものか、これまでの知見とくらべてどういうインパクトがあるのか、コンパクトに手堅く解説した後、Eric Lander御大が「これね、グーグルマップみたいなもん。」となんだかテキトーそうな解説してます(ただしその後ヒトゲノム計画との例示の比較でその意味がわかりますが)。ありがたや。
でそのあとEwan Birneyという、このENCODE研究を主導したEBIの責任者のインタビューが続きます。EBIってのはイギリスですね。次にMichael Snyderの発言、この人もENCODEのチームで、スタンフォード大の人。でさらにBradley Bernsteinのインタビュー、この人もENCODEに参加していて、マサチューセッツ総合病院の、病理医かな?
でMark A. Rubinという、ENCODE外部の人間のコメントが付け加わって。
あと何人かいるけど要するにみんな英語圏内で、新聞記者さんとしては母国語でホイホイ問い合わせまくりってことですね。
とにかく重厚で、ENCODEに至るまでの歴史、そして次に見える地平線が描き出され、その間で常に一般読者の興味をひく努力を続けている感じです。こういうの読めば投資とか影響するんじゃないすかね?きっと。それで金が動いたらまた研究が動いたりしますよ。まそれはアメリカの話ですけど。
これを書いたGina Kolataさんのページがあって、http://topics.nytimes.com/top/reference/timestopics/people/k/gina_kolata/index.html ですけど、
を持ってらっしゃるってことで、PhD記者さん、ではないけど、ほとんど似たようなもんです。ピュリッツァー賞の最終選考に2回残ったことがあるそうな。
。。。
わたしはこういった優れた科学記事を日本の記者さんが日常的に量産するようなのを見てみたいと思います、が、アメリカにはインタビュー先となる研究者が世界最高峰レベルでほぼ全分野で(多分)そろってるってのもあるので、そういう意味で日本とかフランスとかドイツとかみたいな国は最初っからハンデありってとこはあるとは思います。でもそういうのを克服するためにこそまさに記者の研究経験とか重要になると思いますけどね。
あとまあ、このようなエントリなどを読むと
http://d.hatena.ne.jp/uprazhnenie/20121014/1350224323
ちょっと現実的に難しいみたいです。
医者の世界や研究者の世界にも、個人的にはどうみてもアメリカみたいなやり方にしたらいいんじゃん?と思うけどよーく細かく考えていくといろいろ困難な壁があるなということはいくらもあります。これも、ジャーナリズムの世界においてのそういったことなのかもしれませんね。
それでもそういったあれやこれやこうるさく文句つける人間たちをぶっちぎってブレイクスルーしちゃうってのも、今の日本の閉塞した状態を考えれば、有りなんじゃないかなと思いますけどね。