SNPで病気や体質の予測
下記エントリについて。
MYCODEとGenelifeの遺伝子検査結果を比較してわかったこと | 遺伝子と三角
ちょっと前に身長を予測する遺伝的因子の論文が出ていた。
http://www.nature.com/ng/journal/v46/n11/full/ng.3097.html
これによると、身長に影響する遺伝的因子はヒトゲノム上に697箇所あり、それによって身長の分散の15%程度が説明できるとのこと。これは「たった15%しか説明できない」、「これらの遺伝的因子で身長の予測はほとんどできない」と読む。
過去の双生児研究*1から、身長のうち80-90%程度は遺伝的情報によって説明可能と推定されている。これが本当なら身長はわりと正確に予測できそうなものなのだが。
ただし、この研究は線形混合モデルでDNAチップ(GenelifeとかMYCODEが使ってるのと同じもの)全体による説明分散を求めたところ、60%程度だったとのこと。現時点では15%まで説明できる因子しか判明していないが、残り45%ぶんを説明できるデータは、今手元にあるDNAチップの結果の中にあるらしい。
たぶん多くのありふれた疾患なども同じような状況であろうと思われている(数字はそれぞれ異なるが)。
現状としての世界的なレベルでの把握は
- ありふれた病気(2型糖尿病、痛風など)の発症に影響する遺伝的因子は少なくとも数百、多分数千ある
- 現在の最先端の研究では、そのうち一部しか明らかにしていない
- 時間が経てば、例えば身長なら60%程度説明できるようになるかも。
という感触であろうと思われる。
ちなみ現行の「DTC」と呼ばれる商業ゲノム検査サービスは、通常一つの病気や体質について数個、多くて数十個の遺伝的変異を調べていると思われるが、その予測能については、まあとにかくこの文章を見て判断していただければ幸いである。
*1:一卵性双生児と二卵性双生児との違いから遺伝による影響を推定する研究