Nature新方針の件(2)

冒頭追記の注:まさか勘違いされてる方はいらっしゃらないとは思うのですが、これはNew England Journal、Lancet、JAMAといった疫学誌の方針変更ではなくNatureグループです。グループというと幅は広いですけど、基本的には対象は疫学研究と言うよりはより基礎に近い方のライフサイエンス研究が対象であると考えられます。つまりこれは、iPS細胞とか次世代シーケンサーとかそういった範囲の研究が対象の査読方針変更であることを今一度ご確認の上ブコメしていただくようお願いしたいと存じます。特に「疫学研究ではこれまで当然だった」ことは、下にも書いてあるように僕も当然だったと思いますしそんなことは本件にはなんも関係ありませんし、この件の意味がよくわからなくなってしまいます。念のため。

会議中ですが興味なく暇なので昨日の続き。Natureの要求するチェックリストを見てみます。面白い。時代が動くようにも感じますね。

これをGWASとかのbiostatistics系の研究や疫学研究に要求するのは普通だと思いますが、全てのライフサイエンス研究に要求するとしたら新しい気がする。

逆にライフサイエンスの研究者でない人には、これまでトップジャーナルが、ルーチンとしてはこういうことを要求していなかったことに驚く人もいるかも。フィッシャー先生にようやく顔向け出来る、みたいな。まあ個々のレビュワーにこういうことを突っ込まれることはこれまでも良くあったし、トップジャーナルになればなるほどこの辺の要求が厳しくなるというのは元々の傾向ではあったとは思いますけどね。

最近の日本人研究者のアレぶりが、これに結びついたんだったらやだなー。

統計と一般的なメソッド

1. あらかじめ決められた効果サイズを検出するために、充分な検出力を持つと保証されるサンプルサイズをどのように求めたか。

動物実験では、結果に統計学的方法が使われなかったとしても、サンプルサイズ推定についての記述をいれること。

2. サンプルや動物が解析から除外されているなら、inclusion/exclusion基準を記述すること。それは事前に決められたものか?

3. サンプルや動物の、実験グループへの割付と処理が無作為化されているなら、その方法について記述する。

動物実験では、無作為化が行われていなかったとしても、それについての記述を入れること

4. グループへの割付について、実験中と/またはアウトカムの評価において、観察者に盲検化が施されているなら、その程度について記述する。

動物実験では、盲検化が行われていなかったとしても、それについて記述する。

5. どの図についても、統計学的検定は妥当なものだと正当化できるか?

データは検定の仮定とあっているか?(例えば正規分布か?)

6. 実験の各グループにおいて分散は推定されているか?

統計学的な比較が行われたグループ間においては、分散は等しいか?

(薬品と動物実験については略、原文読んでちょ)

ヒト

11. 研究プロトコルを承認した委員会を明記する
12. 全参加者からインフォームドコンセントが得られていることを明記する
13. 患者の写真を発表するなら、発表についての同意があることを明記する
14. ClinicalTrials.gov などへの臨床試験登録番号を明記する
15. 第II相とIII相の無作為化比較試験については、CONSORT声明を参照しCONSORTチェックリストを提出すること
16. 腫瘍マーカーと予後の研究においては、REMARK報告ガイドラインも参照することを勧める

あとデータ保存についてもありますが略。