電車事情についての雑感

すいません、どうしてもどこかに書きたかったんです。読まなくてもいいです。書かせて下さい。パリでの話ですけど。

今日はびっくりしたんです。いつもどおりメトロで通勤してるんですけど、今日は乗り込んだ時に後ろからドーンと押されたんです。その後も何も言わずにギューギュー押してくる、なんだこれは、久しく感じたことのないこのおしくらまんじゅう的なおしかた、そう、これは・・・日本の通勤電車のそれだ!

日本は安全である

いきなり話は変わりますが、日本は異常に安全な国だと言われます。多分そうだと思います。統計の話をしてもちゃんと結果が出るでしょうが、めんどくさいのでめいろまさん風に経験だけでものを言うと、日本なら車内にカーナビ置きっぱなしでもガラス割られて盗まれたりしないとか、「公共交通機関で携帯電話を取り出すことは危険です」というとんでもない警告の紙がバスに貼られたりしないとか、道端にチェーンかけておいていた自転車が一日もすれば白骨化でもしたのかというように枠組みだけになって他全部持ち去られたりしないとか、トートバッグでも持とうものなら子供たちが擦り寄ってきて上から物盗られるだけならともかく下からナイフで切り裂かれて盗まれたりしないとか、本当に日本は安全な国です。

要するにどういうことかというと、カーナビどころか車外から目につくところには何も置いてはいけないと保険会社から釘刺されたり、自転車で移動したいなら必ず室内に持ち込んで停められるところを確保したり(それかベリブ)、カバンはちゃんとしたものでチャックが閉まるようなタイプを体の前面に持ったり、電車やバス内で携帯電話を使いたいならまず周囲をサーチしてやばそうな奴がいないのを確認してから取り出すか、ドア付近にいるなら携帯電話は使わなかったり(閉まる直前に奪取して逃走するという常套手段があるので)、財布に入れる現金は1万円までにしたり(その分の現金は盗まれても諦められるレベルしか入れないという意味)、英語で話しかけてくる奴は明らかに道を聞いてきている観光客でない限りは極力素通りしたり、前で歩いている犬が突然ウンコしたらすかさずサッとよけたりというようなことを本能レベルでやれるようになったら晴れてパリジャン、パリジェンヌ。

で、旅行で来た日本人観光客がこういったポイントをあまり守りきれてない場合、実際スリにあったり最悪殺されたりしてるわけです。まあでも日本人は何をどうしようとそれ自体がターゲットなので、振る舞いが理由なのかどうかはわかりませんが。

まあココらへんはもう人によってはご存知だと思うんです。結局のところ日本が安全すぎるので日本人は警戒心が甘すぎるってことですね。そういえば日本に居た時外人に、「東京で危険で行ってはいけないところはどこだ」と聞かれて「?」となったことがありました。歌舞伎町?でも歩けるかって言われれば歩けるし・・・欧米の都市だと大体、ここは危険地区で絶対行ってはいけないってとこがありますね。

冒頭の電車の話

押してきたのは日本人の方でございました。観光客かどうかはわからない。若い女性がものすごい勢いで体を押し付けてくるという、パリのメトロではちょっとありえない状況に久しぶりに出会いました。僕も久々に、自分のスペース確保のために押し返すの術を使いました。つうかそこまで混んでないんですけど・・・

そうです。このサバイバル感。日常生活においては日本は安全度が高く、欧米などにから見ると甘いのかも知れませんが、こと混雑する電車に関しては日本ほどサバイバルな国は他にありません。誰よりも速く場所取りをし、他の人を押し分け、自分グループが雑談できるスペースを確保しガッチリ居座る。うむ。そのスキルたるや素晴らしい。欧米人なんて甘い甘いですよね。

でもね、欧米では電車はそこまでは混まないので、ふつう当たらない程度に乗り込むか、ぶつかったら「パルドン」「エクスキュゼモワ」って言わないといけないことになってるんですよ、お嬢さん。ほら横のフランス人がわざわざ聞こえるように大きな音立てて舌打ちしてるじゃないですか。「そんなの気にしない」、それも日本人の通勤電車スキルですってば・・・

ついでに

最近は、パリでは公共交通機関がとても危険な状態になっていて、これについては今の状況はフランス人も異常だと思っているようです。パリの地下鉄の放送で"Beware pickpockets"というのがちゃんと英語もふくめ繰り返し流れるのですが、以前から主要路線にはありましたが、どうも今年からかなり広い路線で日本語でも放送してます。「スリにお気をつけください。お持ちのカバンは体から離さず・・・」みたいな。仏語、英語、独語、スペイン語、日本語っていう感じで。やっぱり日本人やられまくりなのかなあ。

めいろまさんのtwitterなどを拝見していると、日本人だけが異常に甘やかされて妙な行動していておかしくて犯罪者の思う壺だみたいに思われるかも知れません。しかし、実のところ中国人もかなりやられてるっぽいです。この前同僚の中国人の友人がパスポートっていうか電車内で旅行カバンまるごと盗まれる事件が発生しました。なにか、詳しくわかりませんが何かを車内の床にばらまき、なんだろうってしゃがんだすきに荷物を奪って逃走するという手段だそうです。まあよくあるケースのような。で、例によってパリの警察は盗み程度では何もしてくれないので(今日は勤務時間終わりって言われたらしい。ほんとに日本の警察の方は優しいですよ!)、中国大使館に行ったら「今日だけで三人目だよ」って言われたそうです、パスポート盗まれたのが。

ていうかフランス人もやられてます。友人が財布をすられましたが、「どうやってすられたかわからない」と言ってました。あと、バックパック背負って駅にいたら、後ろから帯をハサミで切られて盗まれたってやつもいます。これもフランス人。

別に日本人が甘ったれてるから盗まれまくってるってわけじゃないのかもしれません。知り合いはユーゴスラビアが崩壊してからヨーロッパ全体で治安が悪化した、セルビアマフィアの暗躍があるらしい、マフィアの頭目は捕まったが下部組織が分裂してまだやっている、と言ってました。ほんとかどうかはわかりません。

ただ、ヨーロッパでの治安について、10年以上前の渡航歴から語る人がいるなら、ちょっとそれは聞かないほうがいいかもしれません。現在の状況はまったく違ったものです。早朝の電車内で強盗殺人が起きるレベルです。あとiPhoneを強奪するために顔面を殴られた女の子が失明してしまうというレベルです。これ日本人が甘いとかあんまかんけ〜ないと思うぞ(どっちも被害者日本人じゃないし)。