雑感

http://www.rerf.or.jp/news/TBSRCCJ.html

ブコメで「放影研なんて知らない」というのがいまだにいくつか見られることに超びっくり。なにをもって原発の議論をしてるんだろか・・・ま、でも放影研って昔から情報発信が足りないって面はありますかな。これが複雑なもので、放影研の解析結果は被曝認定と密接に絡んでいるので、昔はみだりに発言してしまうと猛烈な抗議が来たりするということもあると伺ったことがある。でももう潮時でしょう。

ちなみに放影研はもとABCC (Atomic Bomb Casualty Commission)とか言う施設で、アメリカやイギリスの頭脳が多数在籍していた(広島は直接にはイギリス占領下だったみたい)。敗戦当時日本には統計学的にしっかりした疫学研究を支える十分な知的背景はなかったというが、彼らが居たので放影研コホートがとてもしっかりとしたとされる。当時ABCCに在籍した学者たちはその後、たとえばJames Neelはミシガン大学名誉教授、William Schullはテキサス大学名誉教授になったりなどした。そもそも彼らは被曝者データの解析手法そのものを数学的に開発していた。

なにをすればよいかがわかりきっている状況なんかでは全然なかったわけで。

その中に遺伝学者ニュートンモートンがいて、彼はついでに日本人サンプルの連鎖解析とかして帰っていった。モートンが日本人で最も統計学をわかっている人間と言ったのが木村資生先生。モートンは偉大な遺伝学者クロウと中がよく、その後ウィスコンシン大でクロウのもとでみんな一緒に研究したりしてる。最終的に木村先生はクロウに勝るとも劣らない敬意を払われる大学者になった。

そんな研究所だったらしいですよ(なんもわからんか)。私の年代になるともはや又聞きの又聞きレベルですが。

放影研は批判するのは簡単だけど、まだあの当時、統計学がようやく形をなし、統計的にきちんとした疫学については勃興してまだ間もない頃、貧困国に落ちた敗戦国日本において、関係者が努力に努力をかさねて作り上げた世界に誇るあのコホートについては、ジャーナリストは最低限の敬意を持って接するべきだろうと思う。もちろん批判はしていいし、というかするべきことであるけれど。